ネパール人4人を一気に採用
「外国企業との橋渡し役、ブリッジSEとして活躍を」
支援内容
定着・受入れ準備に関する支援
業種 | 総合物流事業、コンピュータソフトウエア開発事業、緑化・建設事業 |
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社名 | 株式会社さくらコーポレーション |
住所 | 大阪府堺市堺区築港八幡町1番地 |
URL | https://www.sakura-corp.co.jp/ |
従業員数 | 200名(内、外国人材7名) |
資本金 | 2億円 |

人材紹介

お名前 | シャンブ・シャーさん |
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国籍 | ネパール |
職種 | ソフトウェア開発 |
入社日 | 2025年3月 |
入社経路 | 人材紹介会社からの紹介 |
オフショア視野に英語人材を採用
㈱さくらコーポレーション(以下「同社とする」)は1949年に八幡製鐵所(現日本製鉄)の出荷製品などを輸送する運送会社として設立されました。八幡製鐵㈱堺製鐵所ではいち早く大型コンピュータを導入しており、電算課のオペレーション業務を担ってほしいと依頼を受けたことから、新事業として1967年からコンピュータ運用業務を開始。1980年からは八幡製鐵㈱堺製鐵所から紹介された日本を代表する情報・通信システム企業「富士通 (株)のパートナーとしてとしてソフトウェア開発業務を開始。現在のシステム事業部に至っています。主な開発業務は、自治体のほか大学などのシステム、サーバーの運用保守、情報システム部門のアウトソーシングのほか、製薬会社の臨床試験支援システムや製造業のものづくりにかかわるシステムのパッケージ開発から導入支援、保守を手掛けています。「エンジニアのほとんどは顧客の情報システム部門に常駐する形で勤務をしています」とシステム事業部副事業部長の本田山悟氏。
近年、IT業界では人材不足が大きな問題となっており、経済産業省は2030年にIT人材が最大で79万人不足すると試算しています。同社では近年、文理不問で採用活動を行っているもののそれでも採用が難しくなっているとのこと。さらに、発注元のベンダーがとくに下流工程の業務の委託について海外シフトを進めており、同社でも海外の会社に開発業務の委託を進めているとのこと。「IT人材の確保、そして海外に委託する会社とのやりとりができる英語が話せる人材の確保を考えると、外国人採用を進めるべきと判断しました」。

多様性の取組を評価する認証を取得
外国人材を正社員として迎え入れたいとの考えから人材紹介会社をいくつか当たるうちに行き着いたのがネパール人のエンジニア人材を日本につなぐ人材紹介会社でした。ネパールは主だった産業がなく国外に働きに出ることが一般的。そのため英語教育が充実しており、多くのネパール人は英語が堪能とのこと。その紹介会社では、ネパールの現地企業で経験を積んだエンジニア人材を集めて半年間日本語研修を行い、基本的な日本語を理解できる日本語検定試験N4相当の語学力にしたうえで日本の企業につないでいます。「国外に働きに出るネパール人の多くは欧米の企業に行くそうですが、現地では日本は世界で一番治安が良い国とのイメージが定着しているそうで、親御さんの中には子どもを海外に行かせるなら日本に行かせたいと考える人も多いと聞いています」と本田山氏。
同社では、どのような仕事に就いてもらうか、またどのようなスキルを持った人材を求めているか3パターンの要望を伝えたうえで、その条件に合う人材4人をマッチングしてもらい、オンラインで2回面談をしたうえで内定を出しました。「1人では寂しいだろうし最低2人は採用しようと思っていたのですが、当社が出した要望に合った人材をマッチングしてもらえたので4人とも採用しました」と本田山氏。
採用するネパール人との面談も兼ねて本田山氏は2024年9月にはネパールに出向きました。「迎え入れる以上、私たちもネパールの文化を理解しなければと思いました。採用するネパール人にとってもどんな人と仕事をするのか知りたいでしょうし、少しでも日本で働くことへの不安が和らげばと考えました」と話します。4人が実際に来日した時には関西国際空港まで出迎えたそうです。
逆差別にならないよう公平に接する

ネパール人社員を受け入れるにあたって、外国人材情報センターから紹介を受けたFutaba社に依頼し、同社の全社員に対する研修を実施。ネパールという国、ネパール人の気質について学んだほか、話しかける時は優しい日本語でゆっくり話す、といったアドバイスを受けました。また、NPO法人Living in Peace社が認証委員会を務める「組織における⽂化的多様性への取り組みを評価する指標」であるCultural Diversity Index(CDI=カルチュアル・ダイバーシティ・インデックス)」の認証を取得しました。本田山氏は「認証を取得することで、外国人材にとって働きやすい環境を整えているということをアピールできれば」と話します。採用されたネパール人社員の1人、シャンブ・シャー氏は「社員の皆さんが優しい日本語をゆっくりしゃべってくれるので助かっています」と言います。
採用された4人のネパール人は来日した2024年11月以降、さくらコーポレーションが仕事を受託しているそれぞれの常駐先で勤務しており、OJTで仕事を覚えています。「N4レベルから、日常的な場面で使われる日本語をある程度理解できるN3レベルに上達するには最低でも半年、1年を要します。まずは仕事の中で日本語にも慣れてもらっています」。
さくらコーポレーションでは、長い目で外国人材を育てていこうと考えており、「採用した外国人材にはじっくり腰を据えて働いてほしいということも伝えています」と本田山氏。「実際にこの会社ではさまざまなことを学ぶことができ、やりがいを持って働いています」とシャンブ氏もその思いに応えようとしています。一方で、外国人社員との接し方については「外国人だからといって特別に目を掛けるようなことはしないように意識しています。日本人社員と待遇も接し方も公平にすることで逆差別にならないように心がけています」と本田山氏は話します。
N2レベルまで引き上げてから現場配置
ネパール人に続いて今年5月にはベトナム人を2人採用しました。「円滑に仕事を覚えてもらうには最低でも、より幅広い場面で使われる日本語をある程度理解できるN2レベルの人材が欲しいと現場から要望があったため、ベトナム人についてはN3レベルの有資格者を採用しました。入社後はまず日本語研修カリキュラムを3カ月受けてもらい、N2レベルを取得したうえで現場に配属しようと考えています」と本田山氏。ネパール人社員についてもいずれはN3、N2にステップアップするカリキュラムを受けてもらおうと考えています。
本田山氏は採用時にネパール、ベトナムに出向いた時に、現地のIT企業を訪問し、関係を構築しました。いずれはさくらコーポレーションの仕事をオフショアでそれらの会社に委託していこうと考えています。「シャンブさんをはじめネパール人、ベトナム人の人材が育ってくれれば、ブリッジSEとして現地のIT企業のエンジニアとの橋渡し役になって活躍してもらい、それを当社の強みにしたいと考えています」。そうした会社の思いについてシャンブ氏も「日本の優れた技術を身に付けて橋渡しできるよう貢献したい」と話しています。
公開月:2025.6