日本人、外国人分け隔てることなく採用していきたい
支援内容
採用方法のご提案・ジョブフェア支援機関への取りつなぎ支援・申請手続き支援
業種 | 製造業(フィルム、両面テープ、発泡体等の化成品のプレス加工及びレーザ加工) |
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社名 | 株式会社A.P.I. |
住所 | 八尾市若林町2-97 |
URL | https://api-group.jp/ |
従業員数 | 60名(内、外国人材24名) |
資本金 | 2,500万円 |

人材紹介

お名前 | タン ソー ナインさん |
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国籍 | ミャンマー |
在留資格 | 技術人文知識国際業務 |
職種 | 製造技術 |
入社日 | 2024年4月1日 |
入社経路 | 大阪府主催の合同企業説明会 |
きちんとした手順で採用を、と大阪外国人材採用支援センターに相談
株式会社A.P.I.は1975年の創業で、フィルムや両面テープ、発泡体などの化成品のプレス加工を手がけ、国内では八尾、奈良、埼玉の3工場で、また中国や東南アジアのグループ会社で生産を行っています。


外国人社員についてはこれまでも中国人やベトナム人の社員を技能実習生、特定技能外国人として採用してきましたが、「中小、小規模企業の製造業にとってはますます人材の確保が難しくなっており、今後は日本人、外国人分け隔てなく長く働いてもらえる人材を採用していきたいと考え、あらためて外国人社員の採用に力を入れていこうとしているところです」と秋川史朗社長は採用の方針について語ります。
「ただ、外国人の雇用に関しては以前と制度が変わっていることもあり、どのような外国人をどう採用をすればよいのかがわかりませんでした。現行の制度下できちんとした手順を踏んで採用していきたいと考え、大阪外国人材採用支援センターに相談することにしました」と採用を担当する奈良工場業務部主任の土田順子さん。

マッチングの場「ジョブフェア」で留学生と出会う

2023年11月にセンターの担当者と面談した際にどのような採用方法があるのかを尋ねたところ、タイミングよく12月に大阪で働きたいと考えている留学生と外国人材を採用したい大阪府内企業とのマッチング機会を提供する「ジョブフェア」が開催されることを知り、出展を決めました。
ジョブフェアのブースでは、当初技能労働者として採用し、その後永住権を取得して10年以上同社で働いているベトナム人社員に学生への説明を担当してもらいました。「長く働いてくれている外国人社員と話をした方が外国人留学生にとって身近ですし、説得力があるだろうと考えました」と秋川社長。そのもくろみは当たりました。「40ほどの企業が出展していましたが、他のブースよりも明らかに人が集まってきており、学生も気軽に聞きたいことを聞くことができているようでした」と秋川社長はその時の様子について語ります。
そのジョブフェアに参加していたのがミャンマー人の日本語学校留学生、タンソー・ナインさんです。「日本語学校を卒業した後は専門学校や大学への進学も考えていたのですが、学費や家族のことも考え、日本の会社に就職しよう働こうと考えました。中でも機械のことを勉強したいと思い製造業の会社を探していました」と話します。
秋川社長はジョブフェアでナインさんと工場見学、そして社長面接をする約束を取り付け、さっそく年明けにそれを行い、ジョブフェアに参加していたもう1人のベトナム人と2人を採用しました。ナインさんはA.P.I.を就職先に選んだ決め手について「家族、友達が遠く離れたミャンマーに住んでいるので、給料が多い、少ないよりもストレスなく働ける職場を選ぶことのほうが大事だと思いました。人が優しく、人間関係の良いところを重視してA.P.I.に決めました」と話します。秋川社長は「言葉はいずれ習得できるもの。それよりもナインさんたちの熱意を持って働こうという気持ちを買いました。そうした姿勢が他の社員に好影響につながればよいなとも考えました」と話します。
今後のために、ビザの申請手続きはすべて自社で
ナインさんは学生であったため、同社で働くには学生ビザを就労ビザに変える必要がありました。ナインさんは来日する前にミャンマーの大学で物理学を学んでいたこともあり、就労ビザの中でも、学校で学んだ専門的な技術や知識を生かせる業務に従事できる「技術・人文知識・国際業務(技人国)」の在留資格で申請を行いました。申請に当たっては学位を取得していることを証明するとともに、入社してから担当する仕事が単純作業ではなく、大学で学んだ知識を生かし「技人国」で定められた業務に該当することが求められます。
土田さんは、4月の入社に間に合うよう、センターにビザの申請方法について教わり、2月中にはビザ申請のための書類として、ナインさんの身分を示す書類や学校の卒業見込みの証書に加え、会社の登記簿謄本や会社の概要を説明する資料、決算書のコピー、ナインさんの内定証明書などをそろえたうえで申請を行いました。手続きについては、外部の行政書士に任せることもできましたが、「今後新たに外国人社員を採用する時のことも考え、自社で手続きなどのやり方をすべて内製化できるように、センターにその都度相談をさせていただきながら自分たちでやることにしました」と土田さん。そして3年の在留資格が認められました。
いずれは工法、工程の設計までを任せたい
ナインさんは4月に入社して以降、製造現場の各工程を回り、同社で製造している製品の工程や材料などの把握に努めています。「ナインさんには、現場、現実、現物の三現主義を徹底しながら、日本のものづくりの流れやルールも学んでもらっています。お客様からはさまざまな仕様の製品を製造依頼が舞い込んできます。その時に、どんな材料を使えばよいのか、どうやって作りこむのかを考えながら、どうすればむだなく、コストも抑え、再現率の高い生産ができるかを考える工法、工程プロセスの設計を考えるところにも携わってほしいと考えています。大企業と違って、製品の一部の工程を担当するのではなく、さまざまな製品のすべての工程に触れられるのが中小企業ならでは。そのメリットを生かしてどんどん吸収してほしいですね」と秋川社長は期待をかけています。ナインさん自身、日本語の習得能力が非常に高く、仕事ではほとんど不自由することはないとのことですが、ニュアンスも含め、言葉が正確に伝わるようChatGPTを使って製品の指示書をミャンマー語に訳して渡すなど工夫に努めています。

A.P.I.では今後の外国人採用について、「その時に最適な人材を確保していくために、日本人、外国人を問わず、選択肢の幅を広げられるようにしておきたいと考えています」と秋川社長。そのためにも、ナインさんには長く働き続けてもらい、今後入ってくる外国人社員の模範として、相談役も担ってほしいと考えています。ナインさん自身も「様々な仕事ができるようになればそれに伴って給料も上がると思うので、より仕事を任せてもらえるようになりながら、生活がより良くなればうれしい」と語ってくれました。
取材日:2024.10